Twitter Youtube instagram tiktok
バンド写真

Live

2025年 6月15日

高円寺CLUB ROOTS

<--

2025年6月22日

六本木CLUB EDGE

-->

About

ひぐらしメンバー
ひぐらしが目指す音楽。

ひぐらしの楽曲制作は「音探しの旅」とも言えます。
特に目的地は決まっていません。
道中偶然見つけた、綺麗な音を拾う。
これの繰り返しです。
それを同じように綺麗だと思ってくれる人がいるのなら、その人にその音が届いたら嬉しいです。

Release

待雪草カバー
待雪草

 寒い冬の夜だった。視界が悪くなるくらいの雪が降っていた。
街を歩くのは私一人だった。寒い。指の感覚がなくなっていく。とても寒い。ふと路肩に目をやると一輪の花が咲いていた。花屋を営んでいた私はすぐにその花の名前が分かった。「待雪草。」花言葉は「希望。」皮肉なものだ。こんな絶望の淵にいる私が最後に見る花が「希望」だなんて。寒さのあまり両手をズボンのポケットに入れる。何か箱状の物の感触がする。マッチ箱だ。私が幼い頃、よく母親が読み聞かせてくれていた童話を思い出す。「マッチ棒売りの少女。」同じような冬の夜、マッチが一本も売れずに凍えていた少女の話だった。彼女がマッチを擦ると、大好きだった祖母の姿が炎に浮かび上がる。それが消えないように少女はマッチを擦り続ける。やがて少女は祖母に連れられ天へと昇っていく。そんな話だった。私は目の前の花を燃やしたいという強い衝動に駆られる。箱からマッチを一本取り出して擦る。そして炎を一輪の待雪草に移す。さあ燃えろ。燃えるんだ。真っ白な雪景色の中真っ赤な炎があたりを照らす。童話の少女と同じように炎を覗き込むと、そこには桜並木が映っていた。一人で並木道を歩く男性の後ろ姿が見える。私は食い入るように彼を見つめる。ひどく見覚えのある背中だった。ふと待雪草に別の花言葉があったことを思い出す。ほとんど真反対の意味だった。ああそうか。皮肉なんかじゃなかった。これはきっとあなたからのプレゼントなんだ。あたり一面の雪が溶け、所々に緑色の芽が顔を出している。私は微笑みながら目を閉じる。

Contact

sonohigurashi45@gmail.com

お問い合わせ・ライブのお誘いは
上記メールアドレスよりお願いいたします。